猪狩さんアーティストトーク

先日、ALA Project No.16で展示中の猪狩さんをお呼びしてアーティストトークを開催しました。トークは、あいちトリエンナーレ2013アシスタントキュレーターである吉田有里さんのナビゲートのもと、制作活動や現在展示中の作品についてなど様々なお話をしていただきました。

 

猪狩さんは、1971年生まれの三重県育ち。愛知県立芸術大学にて絵画を学び、大学院修了後作家活動を続けています。現在は、愛知県立芸術大学の講師をしながら、大学内にあるアトリエで制作をしています。


 


向かって左側の作品《本郷》は、猪狩さんが以前住んでいたところの風景を自身で撮影した写真をもとに描いているそうです。画面下部に描かれているものは、地下鉄の高架で、モチーフとした写真を忠実に描き出しているわけではないため、高架の周辺にあるビルは描かれていません。写真を参考にその構成要素を抜き取って描いています。

 

これまでの制作過程では、ドローイングを描きその中からタブローとするものを選んで描いていたそうです。また、写真をモチーフにすることへの抵抗感も以前はあったと言います。しかし、最近描いている作品は、《本郷》同様に猪狩さんが撮りためた写真をランダムに選び、モチーフの参考にして描いています。この様に考えるようになったのは、猪狩さん自身の中で作品との距離感が整理され、これまで絵画に対する考え方に変化が起こり、こだわっていたことに縛られることがなくなって普通に描けるようになってきたとのことでした。

この作品で特徴的な画面を左右に横切る地下鉄の高架の線は、かなり慎重に場所を決めているそうです。この作品に限らず、画面奥にくる直線を決める際には、ヒモを使ってキャンバスにマスキングテープで貼りながら、ちょっとずつ位置を変えピッタリくるところを探していっているそうです。なぜ、そのような実験を繰り返すのかというと、猪狩さんは作品を描いている途中の段階でその作品がイヤになってしまうことがあるそうで、イヤにならないために最初にしっかりと決めているとのことでした。

 

 

 

 

 

←最後に参加者のみなさんと猪狩さんとで集合写真を撮影しました。


その他にも、作品や制作のお話だけでなく、プライベートな話題までお聞きすることができました。たくさんの方にお集りいただき、ありがとうございました。猪狩さんのやさしい人柄もわかる素敵なアーティストトークでした。

猪狩さんの展示は、217日(日)までです。お見逃しなく!


(RK)