View展アーティストトーク①

71日(日)にView展参加作家である、犬飼真弓さん、真坂亮平さん、伊藤歌奈子さん、福岡寛之さんによるアーティストトークが開催されました。

 

今回の展覧会を企画した名古屋芸術大学の須田真弘先生の進行で、それぞれの作家さんから作品についてのお話を中心に様々な話題に広がりました。

 

トップバッターは、犬飼真弓さん。犬飼さんは、今回の展覧会が名古屋芸術大学の卒業生によるグループ展であるということで、大学時代に描いた作品から最新作までを展示しています。

大学に入学した頃は、イラストレーターになりたかったとのことですが、興味の対象は人物を描くことへ移り、そこからさらに人の内面性を表現することに移っていったそうです。作品のモチーフとなっている人物は、黒く長い髪が印象的な女性なのですが、モデルとなっているのは犬飼さんの妹さんらしく、その妹さんの髪型が変われば、描かれる人物像も変化するかもしれないと言っていました。


 


続いて、真坂亮平さん。

真坂さんは、学生時代にはデザイン学部でデザインの勉強をされていたそうですが、卒業制作にあたりインスタレーションによる作品制作・発表をし、その後大学院へ進学、2004年には、ドイツのブレーメンに半年ほど留学をされています。

今回展示されている作品は、ドキュメント映画『100,000年後の安全』から着想を得ているそうです。映画は、フィンランドが舞台となっており、主に放射性廃棄物の処分方法についてのドキュメントとなっています。放射性廃棄物が無害なものになるには10万年という途方もない時間がかかります。その時間軸の長さ、今を生きる自分たちでは到底責任をとることができない問題、正と負が一緒になってしまっている危うさなどが、作品のコンセプトとなっているそうです。

作品から直接的にそのコンセプトが伝わるというよりも、作品を見た人たちが様々なことを発見して、色々なことを想像していくことに繋がるような気がします。


 


3人目は、伊藤歌奈子さん。

伊藤さんは、瞬間の動きをとらえ作品へと落とし込んでいるそうです。様々な事柄を構成する原子は、それがその状態であるのは一瞬しかないため、その一瞬を描いているとのことでした。今回展示している作品は《fountain》というタイトルが付けられており、水の動きをモチーフとしているそうです。

また、作品の制作過程では途中でモチーフとなるものが変わることもあるそうです。作品を描いている時の筆の動きや絵具の重なりも瞬間的な動作なのだと改めて発見し、瞬間の積み重ねによって作品が描かれていることに気がつきました。

 


最後は、福岡寛之さんです。

福岡さんは今回の展示で、7つの彫刻作品を展示しています。福岡さんは、これまで作品の制作から展示にいたるまでの行為を全て含んだプロジェクト型の作品を制作してこられました。プロジェクト終了後に行う展示などでは、プロジェクト全体の経緯もわかるような展示方法をとってきていますが、今回は新しい試みとして、それらの情報を見せず、作品単体として観せるような展示となっています。

この彫刻作品は、空を撮影した写真が素材となっており一番高く伸びている作品で約4千枚の写真を繋ぎあわせたものを巻いて、上に上に伸ばしています。芯になるものなどはなく、巻かれている写真の圧力だけで成り立っています。

塔のようにそびえる作品が展示室のいたる所に配置されている様子を観ると、人類が残してきた古代の遺跡を眺めているような気分になります。

 


アーティストトークは715日(日)にも開催されます。時間は14時から16時です。アーティストの声を聞くことができるチャンスですので、ぜひご参加いただければと思います。

 

RK